top of page

感覚には五感以外に、固有覚(筋肉の感覚)、前庭覚(バランス感覚)という2つの感覚を合わせて7つの感覚があります。

五感は意識して働かせることができますが、固有覚と前庭覚は自覚しづらく無意識のうちに働きます。
姿勢の調整や色々な運動をスムーズにおこなうためには、ひとつの感覚が働くだけでは意味がなく、
この7つの感覚が統合して働くことが重要になりま す。
(この複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能を感覚統合と言います。)
運動にはこの7つの感覚の内、味覚と嗅覚を除いた五感が特に重要になります。
身体が動くしくみ

人間は、神経系の3つの働き(インプット、解釈・統合、アウトプット)のサイクルによって活動することができます。このサイクルの始まりは感覚によるインプットです。
感覚は外界からの情報をキャッチするセンサーです。司令塔である脳は、この各センサーから送られてきた様々な情報を整理し、その場の環境や状況に適した姿勢や、力のコントロール、動き方を選択し、指令を送ることで適切な動きができるのです。
このように、神経系のサイクルの入り口である感覚が正常に働かず周囲の情報を上手くキャッチできないと、脳は緊急事態だと認識し防御反応を起こし、筋肉を固く緊張させて動きを抑制します。
脳の一番の役割は、生命を維持することです。
つまり、いくら筋肉を鍛えたり、ほぐしても、感覚が鈍っていたら思うように身体を動かすことはできないのです。
例えば、筋肉の力をコントロールしている固有覚は触覚からの情報を基に出力を決定しています。
触覚が衰えて情報が曖昧になると固有覚はどれくらい力を出せば良いかわからなくなってしまい触覚を補うために筋肉を緊張させて姿勢を保とうとしてしまいます。


これに加えて環境に適応した運動や姿勢保持をおこなうためには、視覚と前庭覚の統合も必要になります。
このように感覚の統合が上手くいかないと本来の機能を上手く発揮できず、姿勢が崩れやすくなったり、思うように身体を動かせなくなってしまいます。
そのため筋力、柔軟性の向上を目的とした筋肉だけにアプローチしたトレーニングだけでは運動能力向上のための根本的な解決には繋がりません。
根本的な解決のためには、まず衰えている感覚を鍛えて、それらを統合させて働かせる必要があります。
感覚は何のためにあるの?
「感覚は自分という存在を認識するためにあります。」
自分の身体が今どこにあるのか?
自分の身体はどんな形をしているのか?
自分は今どのように動いているのか?
というボディイメージが高まることで思い通りに自分の身体を動かせるようになります。

ボディイメージが鮮明
・思い通りに自分の身体をコントロールできる
・負担のかからない楽な姿勢を保てる
・外的なストレスや身体の異変に気づける

ボディイメージが不鮮明
・思い通りに動けない
・姿勢を保てずフラフラする
・不安を感じやすい
・痛みや違和感の発生
現代では、安全・便利に整えられた環境によって快適に生活することができますが、その代償として動く機会が減り、感覚への刺激が少なくなっています。
子どもの健やかな成長のために、たまには裸足になって自然の中を自由に駆け回り多様な動きや感覚を感じてみる時間をつくってみてはいかがでしょうか?
きっと、子どものみなぎる本来の力や無限大の可能性が引き出されるはずです。
bottom of page